花七日

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「何故です。あなたがあの花の種を作っているのだと聞きました。ここにくれば、種をもらえると」 「女の子の花が咲く、あの種だろう?」 「そうです。私……もういちど……」  身を乗り出して言葉をつむぎだそうとした女は、それ以上は何も言えずに唇を振るわせた。それに続いて涙が頬を伝う。  女に何があったのか、老婆は聞こうとせずにハンカチを渡した。  女は、ただ、泣き続けた。
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