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「寂しさに押しつぶされる前に、ここに来て、新しい種を貰えば……ね?」
「……」
「待たせたね」
スーツ姿の女が笑いかけたとき、老婆が戻ってきた。彼女は手を引っ込め、立ち上がる。
「ありがとう。これ、少ないけど、お礼」
「金儲けじゃないよ」
「いいの。おばあちゃんがいなくなったら誰に種を貰えばいいの? 貰うもの貰って、いいもの食べて、長生きして頂戴」
「悪いね」
スーツ姿の女は、封筒を老婆に渡し、種を受け取った。それをハンカチに包んで大切そうにバッグの中にしまうと、さっさと帰っていった。
家の中に、再び、老婆と二人きりになった。
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