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メロ
メロは小さくくる、と鳴き丸くなった。
花はコーヒーを淹れ、そこから立ち上る湯気を見つめてふと、泣きたくなった。
午前1時。花にとっての朝だった。昨日20時頃に眠剤を飲み、21時にはベッドに入ったのだが、眠りに就いたのは23時を過ぎてからだった。花はほぼ毎日、そんな生活を送っていた。
吉井医師からはこれ以上強い眠剤は出せないと言われている。花の体を気遣ってのことだった。
花は眠剤などどうでもよかった。飲んでも飲まなくても、どっちにしろ眠れないのだ。けれど花は、吉井医師の処方した薬を必ず飲んだ。頭が痛くなれば頭痛薬を飲み、気持ちが不安定になれば安定剤を飲み、眠剤が効かなければ追加の眠剤を飲んだ。
それは一種の宗教みたいなものだった。花にとって、吉井の言いつけは絶対なのだ。
花は吉井が好きだった。吉井は知らない。これから先も恐らく知ることはないであろう。
花は吉井に依存という名の恋をしている。
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