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1ヶ月がたったある日、花は恋人に喫茶店に呼び出された。二人で喫茶店になど行ったことがなかった花は、不思議に思った。
花が喫茶店に入ると、恋人はもう席についていた。
「ごめん、遅れて。」
「いや、いいよ。」
恋人のいつもと違う雰囲気に、花はまごついた。
「どうしたの?元気ないみたいだけど。」
「実は、話があるんだ。」
「何?」
「俺と、別れてくれ。」
恋人は言葉を区切ってそう言った。
「…どうして?何かあったの?」
花は混乱した。
「何かあったって…おまえ、やせ過ぎだよ。」
「え、だって…やせろって言ったのはトモでしょ?」
「だからやせ過ぎなんだよ。ガリガリじゃねえか。」
「そんなにやせてないよ、おかしいよトモ。」
「おかしいのはおまえだろ?なんでそんなに急にガリガリになるんだよ。」
「わたしは普通に…」
「まさか変なクスリでもやってんのか?」
「してないよそんなの!普通にやせたの、努力したの。」
「おまえ…はっきり言って気持ち悪いんだよ。」
「え…」
意味が分からなかった。恋人のためにやせたのに、それが気持ち悪いと言われた。花は言葉を失った。
「とにかく、俺たちはもう終わりにしよう。じゃあな。」
「ちょっと待って!」
花はなんとかして恋人を引き留めようとした。
「トモはわたしのこと、嫌いになったの…?」
「嫌いって言うか、気持ち悪くて冷めた。」
「そんな…」
「今ももう耐えられねえんだよ。もう会わない、じゃあな。」
「待って…トモ…!」
恋人は花の制止も聞かず、足早に店を出て行った。
花は追いかけようとしたが、体が動かなかった。
(オマエ、キモチワリインダヨ)
その言葉が重くのしかかり、今にも押し潰されそうだった。花は泣きたいのを必死で堪え、時間だけが刻々と過ぎていった。こうして花は、2年間を共に過ごした恋人との突然の別れを迎えた。
その時、花の体重は34kgを切っていた。
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