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恋人と別れた花は、部屋に引きこもるようになった。カーテンを締め切り、何をする気にもなれず、1日のほとんどをベッドの上で過ごした。
ただひとつ、食にだけは異常なまでに執着した。食事に出された物は全て食べた。それが好きな物だろうと嫌いな物だろうと関係なかった。そして食事を終えると、今度は菓子類を夢中で食べた。母親に大量の菓子やパンなどをストックさせ、片っ端から食べていく。
そして腹が満たされると同時に心が満たされると、花はトイレに向かい、喉に手を入れて食べた物を全て吐いた。吐いた後は必ず心までが空っぽになり、ふらふらと部屋へ戻ってベッドでうずくまって泣いた。
2年の月日を共に過ごした恋人との別れは、花を果てしない虚無へと誘い、別れ際に放たれた自分への「気持ち悪い」という言葉は、花の心を粉々に破壊するに十分な力を持っていた。花は酷くやせ衰え、その内歩くことも、言葉を発することすらままならなくなった。
母親は泣きながら、花を精神病院へと連れて行くことを決めた。
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