第十一章 老兵行脚(続き)

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おほならばもはやこれまでと投げ出すを苦・衰退とおのれどやしたり ※「おほならば」:普通なら、いつもなら  ※「苦・衰退」:とはやたら鬱屈する弱い心の持ち主を云う。 足くじきひばりの歌は行じかぬ行くも止まるも坐るも伏すも、なべて痛し 足痛み一足ごとの昇降に舌を打つ人ののしる人ら ※通勤の駅の階段を上がりくだりするゾンビ…のような私。ラッシュアワー時に申し訳ない限りです。 この試練もばら超えるを願ふなり止めてはならじ3K職場 ※亜鉛の煙ただよう、電池とバッテリーから亜鉛を取り出して再生用とするゴミ処理工場にいました。防塵マスクにゴム手・長靴・ゴムの前掛けと完全装備。扱う古バッテリーはやたら重く、工場中は暑い。入ってその日の午後に止める人がいるほどに定着率の悪い職場でした。それプラスこの怪我…とことん滅入りましたがここで止めては… 我ほどに不幸の男居らぬべし居らば教へよ眠れぬ者を やれ降るな外で眠れぬ雨もやひ住居あってもホームレスとは…これいかに ※ヤクザらは私を勤めさせまいとし、強いて勤めればこんどは続かないようにします(=生活を破綻させようとする)。したがって私は勤め前の早朝、勤務後帰宅前のそれぞれ数時間を公園などでうたた寝します。でなければ身がもたない。 目覚めればおのれ妖怪たたずめりおぞしやフレディ悪夢の現(うつ)し ※時々ストーカーらが公園までも後をつけてくる。もしくは張っている。起きてもフレディならば映画「エルム街の悪魔」そのままではないか。 寒空にけふもおとなひ寝らむとすこはいづくの公園なりや めざめれば樹間ゆ皓(かう)と望月と見ればあなかま公園の灯 足痛み歩くもつらき身を運びけふはいづくの公園(その)へ訪ふとすや 身は疲れボロ雑巾のやうななりゾンビごと行くを人らの嘲笑(わら)ふ 雨つづくけふもあしたもあさっても氷雨秋霖身心やつる 「火の用心」爺らの廻る公園ゆ逃れて山上(やまへ)の幸が谷に行く ※「ゆ」:~から ※勤めを終えて東神奈川公園で寝ていますと地域パトロールの年寄りらが拍子木を打ちながら巡って来ました。舌打ちしながらショバ替えです。高台へと逃れました…。
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