第十一章 老兵行脚(続き)

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丘の上(へ)は寒くベンチ肘掛け中にあり寝(い)ねも寝られず横にもなれず ※スマホを便りに坂を上って山の手に行くと公園がありました。幸が谷公園とか。横浜の夜景を一望できる結構な公園でしたが時期は11月下旬、寒いです。おまけに私のようなプータロー(?)除けなのかどのベンチにも真ん中に肘掛けがあって横になれません。ただただ、悲惨でありました…。 われははた未来世界をさまようか瀟洒の灯(ともしび)をちこちに見ゆ ※天空のラピュタからの眺めと云うか、とにかくハマ一望の絶景でした。私のような貧乏人からすれば瀟洒な横浜の眺めです。私一人取り残され、貧窮のままの身は、豊かに発展する世間から隔絶されたようで、それはあたかも昔の人間がタイムマシンに乗って来、未来世のきらびやかな街を覗くがごとしです。眺めに感嘆しながらも、しかし悲哀なる感慨にこそ、果てしないものがありました。 冷え冷えて幸が谷園ゆ下り来ぬジェリーハウスとか恐き高級住宅街(まち)行く 〔和歌集蛇足〕 平成29年の夏頃から冬にかけての詠草群です。この頃に限らずここ10何年かの歌は、これほとんどストーカーども関連の歌が7、8割がたです。私にとって一番嫌な題材、見ることも聞くことも語ることも一切御免なものであるにもかかわらず、かかる状態を強いられています。信じられないでしょうが家に帰れば(市営団地の4階の部屋だった)廻りぐるりの四部屋をヤクザどもに囲まれていて、四六時中「プータロー!」だの「最低だ」(何が最低だか知りませんが。私に云わせれば最低なのはお前たちではないかと云いたい)等の罵り声を受け続けます。果ては真上の部屋で激しい足踏みをし始め、隣からは襖を叩きつけられ、壁を叩かれる。極めつけは部屋に持ち込んだ小型ジェネレーターと思しき機械をかけ始め、その音と振動たるやありません。このような無体な行為を長年月、受け続ける身であればこそ、嫌で仕方ありませんが、畢竟かかる題材、かかる作風となってしまうわけです。image=513351637.jpg
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