3 冷たい雪

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3 冷たい雪

「……ん、」 出てしまっていた腕がひんやりしてきたのを感じ、ぼんやりとした意識の中で手探りで肩まで布団をかけ直す。 まだ眠い、と感じる脳に従って目を瞑っていた時、すっと優しく頬を何かがなぞった感覚につられるように無意識にもそっと瞼が開いた。 ……あたたかい、落ち着く匂いがする。 「……起きた?」 「ん……」 ずれた布団を少し直すように私の上に腕が回る。 それを感じて、私はこの落ち着く体温にすり……っと頬をつけぎゅっと腕を回してすり寄った。 「寒い?」 「んーん、……あったかい」 あまりにも幸せすぎてふふ、っと笑みが溢れた。 「だいすき」 「……ばか」 同じようにふ、っと笑みを溢した陸斗さんがぎゅう、っと抱きしめ返してくれる。 ……どうしよう。 もう幸せすぎて、好きで好きで好きで、好きが溢れて止まらない。 「……」 事後の跡が残る、服を着ていないこの目の前の胸板にちゅ、っと思わず唇を小さく当てた。 好きな気持ちが、愛おしい気持ちが積もれば積もるほど回す腕にぎゅっと力が篭る。 「……誘ってんの?」 「へっ……」 言葉の意味を理解するよりも前に、いつの間にか片肘を立てて上から私を見下ろしていた陸斗さんに見つめられる。 その瞳に揺らめく熱の色にかあ……っと頬に血行が集中する。 「あ……いや、えっと……」 「そんなに胸をぎゅうっと押しつけられて誘われたら、もう答えるしかないよなあ?」 「へ?ん……っ」 そう言って、その整った顔にふっと意地悪な笑みが浮かんだのを視界に入れた瞬間、甘く熱い唇に塞がれて私はぎゅっと腕を回した。
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