3.初めてがいっぱい

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1月2日。 先輩との初デート。 何を着て行こう? 髪型は? 朝からバタバタ1人でファッションショー。 ベッドの上には服が散乱してるけど 片付けてる時間はない……。 いいや。 帰って来てから片付けよう。 『行ってきまーす!!』 リビングを通って玄関に向かうと 母に呼び止められました。 『どこ行くの?』 『映画!行ってきます!』 誰と??とか聞かれる前に さっさとブーツを履いて外へ。 待ち合わせの駅に着くと 先輩が もう待ってる! わー!! 先輩のこと、待たせちゃった!! 『ごめんなさい!! 遅かったですか?』 『全然。走らんでいいのに。』 そう言って笑う先輩の表情が すごく柔らかくて、胸が高鳴る。 並んで歩きだすと、 自然に手をつないでくれる先輩。 手袋なしで手を繋いだのはこのときが初めて。 先輩の手はすごく大きくてあったかい。 ドキドキし過ぎて胸が苦しい。 普通に会話してたはずだけど、 何を話してたんだろう。 全然記憶にない。 映画館につくと上映時間ギリギリで もう照明も落ちて、始まるところでした。 急いで席につく私たち。 隣に先輩が座ってるだけで 右側に神経が集中してる。 落ち着かなくて内容が頭に入ってこないー! って最初は緊張してたけど 途中からはしっかり入り込んで鑑賞してました。 エンドロールを最後まで見て 照明が明るくなって先輩の方を向くと 先輩が 満足げな表情で 言いました。 『めっちゃ良かったな!! 途中、リホが泣いてたところとか。』 『だって、感動して・・・。』 『うん。俺も映画館じゃなかったら ヤバかったな。』 『先輩も映画観て泣いたりするんですか?』 『するなぁ。 ドラマとかでも泣くで。』 先輩のこういう素のままを 話してくれるところが カッコいいなって 思った。 ひとつしか違わないのに 同級生の男子とは 違う感じ。
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