4.春合宿(高2)

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翌日の合宿最終日。 昨日のことを 謝るどころか、 朝からバタバタしていて吉田先輩と話す時間がない……。 この日は試合中心の練習で 担当チームのスコアをつけていたら リンリンが横に来て コソッと教えてくれました。 『昨日、あの後ね 美玲センパイ、 吉田先輩に告白しに行ったんよ。 断られたらしいから今日もリホちゃんに 冷たいやろ? なるべく離れときな。』 そう聞いてからはスコアをつけるのに 集中できなくて 他のマネージャーに変わってもらいました。 やだ。 やだ。 私の先輩なのに。 とらないで!! そう思ったとき 不安ともやもやの正体が “独占欲”や“嫉妬”なんだと気付きました。 初めて持った 自分の中でどんどん大きくなる醜い感情。 私、 可愛くて明るくてみんなに好かれてる美玲センパイが 吉田先輩のことを好きだと聞いて怖いんだ。 なんとか落ち着いて 練習の場へ戻りました。 そして合宿を終えて解散しての帰り道。 すごく気まずくて私は弥生ちゃんたちと 歩いていました。 『ねぇ、リホちゃん。 キャプテンにごめんねしておいでよ。』 『う・・・ん。 なんか近づきにくいオーラ出てるやん?』 『昨日さっさと謝らんからでしょ? 早く行っておいでって。 電車乗る前に謝らないと (乗る電車が)反対方向やん!』 このまま帰るのはイヤだな。 先輩は何にも悪くないのに……。 ちゃんと謝らなきゃ。 いつまでもウジウジしていたけど、 友達に背中を押してもらって 駅に着いたときにやっと先輩のところへ行けました。 『吉田先輩。』 振り向いた先輩は やっぱりちょっと怖い顔。 『ちょっといいですか?』 吉田先輩に一緒に居た先輩たちは 『先 帰るわ。 2人ともお疲れさん。』 と言い、気を利かせて2人きりにしてくれました。 それでも合宿帰りの他校の人が次々に通るので なかなか話し出せなくて、しばらく沈黙。 『リホ、まだ時間大丈夫なん?』 気まずい沈黙を破ってくれたのは先輩でした。 『大丈夫です。』 2人で近くの公園へ移動しました。
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