4.春合宿(高2)

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移動の間も、公園についてからも ずーーーっと沈黙が続いて、 続けば続くほど切り出すタイミングがなくて。 とにかく謝らなきゃって気持ちはあるのに 口に出せなくて・・・。 ちらっと先輩の方を見るのと同時に 先輩に聞かれました。 『イヤになった??』 『え。 なにがですか?』 『俺のことイヤになった? 昨日から避けてたやろ??』 そんなつもりはなかったけど、 避けて・・・たかな・・・。 思いっきり首を横に振って否定しました。 『そんなことないです!!』 『話って、別れ話じゃないん??』 『違います!! 昨日のことを謝ろうと思って・・・。 別れ話なんかイヤです。』 言い終わる前に抱きしめられました。 突然のことで動けない。 心臓が壊れそうなくらいドキドキして痛い。 先輩の腕の中で頭の中は真っ白でした。 『良かった。 知らんうちに嫌われたんかと思ってた。』 顔が上げられなくて俯いたまま 話しました。 『嫌いになんかならないです。』 先輩の腕が緩んだので ちょっと上を向くと すぐそばに先輩の顔があって 恥ずかしくてまた俯いてしまいました。 先輩はそんな私の両頬を両手で優しく包み、 私の顔を上げさせました。 視線がぶつかって、見つめ合って 先輩はゆっくりと距離を縮めて…… そして そっとキスをしてくれました。 少し唇が触れただけの優しくて短いキス。 唇が離れてまたぎゅっと抱きしめられました。 抱きしめられて、 先輩の左胸のあたりに密着してる私の右耳からは 先輩の心臓の音が 聞こえる。 先輩も ドキドキしてるんだ……。 先輩が少し力を緩めたとき 私はその場にしゃがみこんでしまいました。 『ごめん。イヤやった?』 先輩が同じようにしゃがんで 心配そうに私の顔を覗き込んでいました。 『ううん。 恥ずかしいだけ。』 先輩はなかなか顔を上げられない私の腕を 優しく引っ張って立ち上がらせてくれて もう一度抱きしめて 『可愛いなぁ。 もう一回していい??』といって 2回目のキスを落としました。 『……昨日、心配してくれてたのに ひどい態度でゴメンナサイ。』 先輩の腕の中で そう言うと 先輩は もっと ぎゅーっと 抱きしめてくれました。
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