母の教え

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ポリスメンである。 男は児童虐待の観点から、場を地元の警察署へと移し、しばらくの間問い詰められる事となった。 説教。 『これは画期的なで革新的な防犯法なんだ』と反論するが、返ってきたのは更なる説教だ。 減らず口で応戦するも、次第に口数は減り、終には黙らざるを得なくなる。 結局その日の内に解放されたのだが、妻を迎えに行くどころか呼びつけるハメになった。 やはり家でも説教が待っており、深夜まで紛糾した議論が翌日の寝不足を引き起こした。 もちろん妻の賛同は一切得られず。 男の努力は水泡に帰したのである。 「実践したら酷い目に遭ったよ。オレの何がいけなかったのかなぁ」 男は恨みがましく遺影に話しかけた。 そこには厳格そうな初老の女性が写っている。 見つめる事しばし。 するとどうだろう。 空耳のような言葉が、男の耳元で響いた。 ーーだから程ほどにせいと言っただろう。
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