私の大切なあなた

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私の大切なあなた

また、あなたの夢を見てしまいました。 夕食も済み、照明を暖色系に変えた室内。風呂上がりで汗ばむ額を冷やすと睡魔が勝手に今日子のまぶたを引っ張り始める。 「ねえ、(そう)さん。まだ、耳の調子良くないんでしょ?」  火照る額を濡れタオルで冷やしながら、ソファにもたれた姿勢の今日子は、リビングのテーブルでパソコンとにらめっこしている夫、草介(そうすけ)に声をかけた。草介は今日子より七つ歳下の二十七歳。照明が高い鼻筋を照らしている。容易に表情をうかがわせないメタルフレームの横顔に、今日子はそっと感嘆の溜息をついた。  結婚して三年経つのに、今だに同じ屋根の下にいると思うだけでドキドキするだなんて。歳上の威厳を保つためにも秘密にしておこう。そう、今日子は考えている。 「ああ、でも耳垂れは治ったし、もう良いんじゃないかな」  言葉に起伏がない。と言うか自分が草介のことを心配してるんだってことが響いてない。まったくもって気の無い返事。ガクッ。今日子は傍のクッションを引き寄せて眉をしかめた。 「そんなことより、今日子さん、もう眠いんでしょ? 先に寝ててくれて構わないから」     
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