梅雨明けの日に見つかる

2/2
34人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
一時間目の授業は国語だった。ぼそぼそと話す先生を眺めていた。無意識に頬が緩んでいたかもしれない。外でヘリコプターの羽ばたき音が聞こえて、自然と窓に目がいった。その時、窓際の田中君と目があった。みんながヘリコプターに気を取られてる中、田中君だけが私の方を見ていた。もしかしたら、授業中ずっと見ていたのかもしれない。ぞっとした。もしかしたら、バレてるのかもしれないと寒くなった。 放課後、朝子と待ち合わせしていた。あの日朝子をないがしろにしてしまったお詫びにパフェをご馳走する約束をしていた。 「ごっめーん」 小走りで朝子が走ってきた。私は手を振って朝子を迎えた。その時、視界に田中君が入った。もしかしたら、待ち伏せしていたのかもしれない。そう思ったが、何事も無いように田中君は去っていった。 実は見られてなかったかと、安堵して朝子と二人でパフェを食べた。あの日のわだかまりが解消されることを祈っていた。でも、私には朝子に話していないささやかな秘密がある。そう思うとか細い足が震えた。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!