桜の日に出会う

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桜の日に出会う

校門へ続く桜並木を私は歩いていた。 高校三年生なった春にこの陽気は朝が弱い私にとって天敵だった。眠気と戦っていて桜を眺める余裕さえなかった。 新学期が始まったが、クラス替えはなく、二年生の頃と同じ顔ぶれだったが、担任の先生は産休で代わりの先生が来ることになっていた。 男の先生が来る事だけが噂で伝わっていたのでクラスの女子は盛り上がっていたが、私にとってはどうでもいい事だった。窓際の席に差し込む陽気にうつらうつらとしていた。 「どんな人だろ。イケメンだといいな」 唯一の親友の朝子が私の机に手をついて覗き込んできた。 「興味ない」 素っ気ない私の態度に「うっそーん」と大げさにのけぞった。 彼女は朝子という名前の通り、朝が強く活発な女の子だ。おとなしめの私とは正反対の性格だと思う。でも、似てるところもあるのかもしれない。 本鈴が鳴って私たちは席に着いた。いつもなら、だらだらとして先生に怒鳴られるまで席につかないクラスメイトもキチンと着席していた。私はそんなかったるそうにしているクラスメイトが好きになれなかったが、自分も十分この高校生活がかったるかった。親友の朝子以外で話す人はほとんどいなくて、朝子はそのことを気にしてるところがあった。 「みんなでカラオケ行かないかって」 「ごめん」 そう言って、 親友が気を使ってくれたことにも応じず、一人で下校することもあった。
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