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なんとか現役合格、おまけに電車で1時間もかからない大阪市立大学。交通費があまりかからんというたとこで理系やから学費は・・・バイトに奨学金、頑張らんと・・・そうや、明日には入学金とか納めんとアカンのや・・・憂鬱な気分で家に帰ると、知らん靴があった。
「よお、市立大学らしいな、ようやった」
親父の弟・尊オジサンやった。
「・・・どうも」
「なんや、ブッキラボウに、御祝い
持ってきててくれたんやで」
親父が気を遣うて悪そうに言うから
「ありがとうございます」
俺的には最上の笑顔をしたつもり。
「すんません、尊さん、この子、
ホンマに愛想ないわ」
オカンも気遣いして頭なんか下げてる。
「男の子はそんなもんや、俺もそうやった」
尊オジサンは紳士的に返す。
さすが大学教授・・・。
「わあ、オジちゃんや!おばちゃんは?」
タイミングよく“愛想抜群“の妹・凛花が帰ってきた。
「おばちゃんは留守番や」
「ええ!一緒やったらUSJに行けたのに」
「また春休みにウチに来て、
ディズニーへ行くか?」
尊オジサンの誘いに
「行く行く!明日からでも行く!」
凄いなあ、小学5年生で人を喜ばすのが巧い。女であることも利点か?いや、俺はトビキリ愛想が悪い。特にこの尊オジサンに会うと余計に・・・
「そろそろ行かんと新幹線の時間や」
尊オジサンが立ち上がると
「ええ!晩御飯食べて、
泊まって行って頂戴」
「せや、口に合うモンもないやろけど」
なんか両親が卑屈なくらいに愛想言うのが
気に入らん。
「いや、今日まで学会で大阪にいたから
ちょうど都合がよかっただけで、
明日朝から会議や」
「エラなったら忙しなあ、駅まで送るわ」
「私も送る!」
ガレージまで俺もついていくと
「バイトしながらようやったな。
けど無理するな」
言葉をかけてくれた。
「はい・・・気をつけて」
車を見送って玄関を開けると
「今、尊さん、家出ました。夏実さん、
ありがとう!助かりました。
明日なんとか入学金を納められます。
ホンマにいつも・・・
必ずお返しします!」
オカンが尊オジサンの奥さんに
電話してる声。
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