もう天使ではいられない 4 マイナススタート

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なんとか現役合格、おまけに電車で1時間もかからない大阪市立大学。交通費があまりかからんというたとこで理系やから学費は・・・バイトに奨学金、頑張らんと・・・そうや、明日には入学金とか納めんとアカンのや・・・憂鬱な気分で家に帰ると、知らん靴があった。 「よお、市立大学らしいな、ようやった」 親父の弟・尊オジサンやった。 「・・・どうも」 「なんや、ブッキラボウに、御祝い  持ってきててくれたんやで」 親父が気を遣うて悪そうに言うから 「ありがとうございます」 俺的には最上の笑顔をしたつもり。 「すんません、尊さん、この子、  ホンマに愛想ないわ」 オカンも気遣いして頭なんか下げてる。 「男の子はそんなもんや、俺もそうやった」 尊オジサンは紳士的に返す。 さすが大学教授・・・。 「わあ、オジちゃんや!おばちゃんは?」 タイミングよく“愛想抜群“の妹・凛花が帰ってきた。 「おばちゃんは留守番や」 「ええ!一緒やったらUSJに行けたのに」 「また春休みにウチに来て、  ディズニーへ行くか?」 尊オジサンの誘いに 「行く行く!明日からでも行く!」 凄いなあ、小学5年生で人を喜ばすのが巧い。女であることも利点か?いや、俺はトビキリ愛想が悪い。特にこの尊オジサンに会うと余計に・・・ 「そろそろ行かんと新幹線の時間や」 尊オジサンが立ち上がると 「ええ!晩御飯食べて、  泊まって行って頂戴」 「せや、口に合うモンもないやろけど」 なんか両親が卑屈なくらいに愛想言うのが 気に入らん。 「いや、今日まで学会で大阪にいたから  ちょうど都合がよかっただけで、   明日朝から会議や」 「エラなったら忙しなあ、駅まで送るわ」 「私も送る!」 ガレージまで俺もついていくと 「バイトしながらようやったな。  けど無理するな」 言葉をかけてくれた。 「はい・・・気をつけて」 車を見送って玄関を開けると 「今、尊さん、家出ました。夏実さん、  ありがとう!助かりました。  明日なんとか入学金を納められます。  ホンマにいつも・・・  必ずお返しします!」 オカンが尊オジサンの奥さんに 電話してる声。
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