もう天使ではいられない 4 マイナススタート

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そっと二階へ上がってベッドへダイブ! 「やっぱりな・・・貧乏発覚!」 地方チェーンスーパーマーケット勤めの親父、オカンのパート代を合わせても四百万ないやろう年収。 発覚というより今まで気付かん俺がアホ。 「一年目の学費くらい貯めてくれてる  思たのに」 悔し涙が出てまた悔しい・・・。 「返す・・・無理やろ!来年もあるし、  凛花も直ぐに塾とか行き出すのに」 悲観的なことばかり考えてるうちに晩飯になった。 「ちょっと小さいけど鯛も焼いたんや。  オバアチャンが赤飯持ってきて  くれたしな」 「わあ、美味しそうや!」 俺の替わりに凛花が喜んでくれる。 「なんや、合格したのに鬱陶しい顔して」 親父が不機嫌に言う。たぶんさっきの尊オジサンに対する俺の態度からして気に入らんのや。で、つい 「俺、理系やから来年も学費かなり要る。  奨学金でもバイトでも賄えるか」 「そんなん、後や後!なんとでもする」 (また尊オジサンに借金か?) 言葉を飲み込んだ・・・。 「心配せんと今夜は合格喜ぼう。  お母さん、嬉しいわあ、  よう出来る息子持って」 「ホンマ!ホンマあ!  賢い兄ちゃんで自慢や!」 オカンと凛花にこれ以上気を遣わせたないからそれきりその話は止めた。 シックリー関西弁でいう『気持ちいい納得』がないままに春休み。 「東京!おじちゃんトコ行きたい!」 凛花がいい出した。 「今年は兄ちゃんで物入りやから   ちょっとなあ・・・」 金借りた手前、親父は渋った様子。でも 「春休みでしょう!遊びに来たら?」 夏実オバサンからcall。 (エエ人にも程があるわ) 呆れてんのに 「ありがとう!助かるわ、春休みの間、  お世話になれたら私もパートの時間を  増やせるし」 オカンが電話で言うてる。 (お前らプライドないんか!) って腹立てしもたら、バイトで貯めた20万円だけでも返したい!っていてもたってもおれん気になって 「俺も東京行くわ・・・  俺のバイト代で連れていく」 言うてしもてた。
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