もう天使ではいられない 4 マイナススタート

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「ここや、ここ!」 経堂駅の改札口で尊オジサン夫婦が待ってくれてた。 「おじちゃま!おばちゃま!」」 駆け寄る凛花の後へ続く。 「匡くん、初めてよね?  ウチに来てくれるの。嬉しいわ、  ゆっくりしていってね」 如何にも東京人という感じのオバサンは、オバサンというには申し訳ない、オカンと変わらん歳やろうけど“お姉さん“という感じ。 (金持ちやから若くおれんのやなあ) って納得いく豪邸に着いた。 「スゴいやろ?私、ここでおったら  お姫様気分やねん」 長期休みは勿論三連休以上になると無理してでも来ようとする凛花は勝手知ったる様子で 「おばあちゃま、おじいちゃま!」 と、オバサンの親にも馴染んでた。 「羨ましいやろ?凛花の“臨機応変“」 尊オジサンがふいに言うた。 「俺でもこの家が自分の家やと認識する  のに3年はかかったで、ハハハ」 なんか・・・意気込みが削げるくらい尊オジサンが気さくに思えた。 翌日、凛花は夏実オバサンとオバサンの御両親と一緒にディズニーリゾートへ。従兄弟達は夏実オバサンの姉さんのいる沖縄へ遊びに行ってるらしい。 「ウチの大学の理工の若い先生で  面白い男がおるんや。紹介するわ」 尊オジサンに連れられて勤め先の一橋大学へ行った。まだ自分の行く大学すら見てない研究室で大学院の人やら、オジサンのいう若い先生やらの話を聞いてるとものすごく気分がハイになってきて 「僕もそんな研究してみたい!」 小学生みたいにウッカリはしゃいでしもた。 「ああ、大学院はウチに来いよ!」 みんなにそんなこと言うてもろてウキウキしてる・・・下宿して東京の大学院なんて、金もないのに。帰りの尊オジサンの車の中で、落ち込んだ・・・。
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