8 一歩前へ

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「あの、迎えに来てくださり、ありがとうございます」 「用事があったから。ついで」 「それでも、電話の件も助かりました。……嬉しかったです」  電話の件について問われるか不安があったが、興味がないのか、深くは聞いてはこなかった。  熱そうなアスファルトの上を歩いていく彼の体温を、黙って感じながら、こっそりと深呼吸する。  今からする話は一筋縄ではいかないだろう、緊張に心臓をばくばくさせながら本題へとうつした。 「どうか、これからもお話させてください」  強ばった声に反応するように彼の肩がぴくりと跳ねる。  途端に全身から拒絶するような空気が流れ始めた気がした。  ぐっと重くなったそれに、緊張が高まる。
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