第2章 目的の始まり

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 ぬるくなったコーラを飲みながら、密かに確信した。  夏美さんが言った『昔』は、清瀬さんという老夫婦が住んでいた頃のことだろう。きっと、清瀬さんがいた頃は、庭一面にコスモスが咲いていたに違いない。  ――だとしたら。  夏美さんは、いつ、そのコスモスの庭を見たのだろう?  そして、どうして今、当時の庭を再現しようとしているんだろう?  直接、夏美さんに尋ねれば分かるかもしれないが、訊いてはいけないような気がした。  しかし――この疑問の答えは、しばらくすると意外な形で明らかになった。
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