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浅い眠りの中で、またあの夢を見た。
――いや、夢なのかさえ不確かだ。
愛しい我が子が消えていく……それを自らの手で行わなければならない地獄。
幸せな結婚になるはずだった。
あの人は、暴力を止められない人だった。
あの夜――私が夜勤でさえなければ。
分かっていたはずなのに――サクラを守ってやれなかった。
後悔は、身に刻まれた焼き印のように、いくら時間が経っても消えることなく、私を苛む。
思い出したくないのに、また夢の形を取って甦る。
いっそ狂ってしまえば楽だったろうに、そういう時に限って冷静になるのだ。
多分――私の心も、あの時、サクラと一緒に死んだのだろう。
夫の身に起こる『変化』を知りながら、私はその方法を選んだ。
どこかで、失った子どもたちの代理復讐をしている気がしていた。
復讐を果たしても、子どもたちは戻らない。身に刻んだ負の刻印がひとつ、増えただけだった。
私の大切な人たちは、いつも私を置いて消えてしまう――そういう星の元に定められたのかもしれない。
だから、私はもう誰も愛さない。
悪夢を繰り返す残酷な日々の中で、生を引きずり続けるのは、大好きだった祖父母と見たコスモスの庭をサクラとソラに見せあげたいからだ。
それが……それさえ叶えば――私も行く。
大切な人たちの待つ場所ではないにせよ、この地獄よりはマシな所へ――。
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