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「…スマホを見つけて武道館の鍵を返して…」
食事を済ませコーヒーを飲んで、一息ついたところで香織が話し始める。
「…もう少しで校門を出るってところでクラブ棟の2階の角部屋が青白く光り始めたんです」
俺はその時の事を思い出しながら、香織の話に耳を傾けていた。
「それで、大成とクラブ棟に近づいていったら…」
「『幽霊』らしきモノが見えた、と」
愛華姉が続けた言葉に、俺と香織が同時に頷く。
「…頭に布か何か被ったヤツが、天井からぶら下がってるみてぇに逆さまに浮いてて…」
「…『逆さま』?」
俺の言葉に、愛華姉がピクリと片方の眉を上げておうむ返しに尋ねる。
その問いかけに、俺はコクリと頷くことで答えた。
「…で、俺が部屋に向かったけど鏡がデーンとあっただけで、外に居た香織に声をかけたけど…」
俺がそう言って香織を見ると、
「…大成が通ったと思うトコに電気が点いただけで、変わった事は…」
と香織が言葉を続けた。
それを聞いて、愛華姉は腕を組んでふぅん、と相槌を打つ。
「…誰かがやってんなら、どうやって…?」
「…っていうか、そもそも何でそんな事を…?」
俺と香織も腕を組んで唸っていると、愛華姉が俺たち二人の顔を見てクスリと笑った。
「…そんなに気になるんなら二人で調べてみれば?」
「「…え!?」」
愛華姉の提案に、俺と香織は同時に素っ頓狂な声を上げる。
「…アタシも気になるし♪」
ニカッと笑う愛華姉の前で、俺と香織は思わず顔を見合せた。
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