CONFUSED BLUE

12/36

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「…結構な噂になってんだろ?じゃぁ他に見たヤツが何人も居るんじゃねぇの?」  そう言いながら、愛華姉がコーヒーのおかわりを入れてくれる。 「…そういや、西川が見たって言ってたな…」 「あ、アタシの友達にも見たって子が居る」  俺と香織は再び入れてもらったコーヒーを飲みながら、自分の身近に居る噂話の出どころを思い出す。 「じゃぁまずは聞き込み、ってカンジ~?」  愛華姉はカウンターに頬杖をつき、ニヤニヤと笑いながらそう言った。 「…面白がってねぇか?」  俺は呆れつつ愛華姉を睨むが、 「当ったりっ前♪」 と、睨まれた当の本人は気にする様子ゼロであっけらかんと答える…愛華姉のヤツ、他人事だと思って…。 「あ、そうだ。捜査を開始するにあたって、香織ちゃんにオススメの漫画があるんだけど」 「え?」  香織は一瞬キョトンとした顔をすると、頭を横に振った。 「いいですよ、すでに何冊も借りてるのに、さらに借りてたら返すのが遅くなっちゃう」 「ゆっくり読めば良いよ。帰りは大成が送ってくだろうから、重かったら大成に持たせりゃ良いし」  愛華姉は気にせずカウンターを出ると、持っていた紙袋に漫画を数冊入れてその内の1冊を香織に見せる。 「…『探偵学校S』?」 「…ああ、『金田一少女の事件録』描いてるコンビの漫画?」  俺は香織の後ろからヒョイと覗いて呟いた。 「そ、推理モノ。面白いよ♪」  愛華姉ににっこり笑いながら渡されて、香織は戸惑いつつも受け取った。 「…懐かしいなぁ…俺ももう1回読もうかなぁ…?」  香織が受け取った漫画を見て呟いた俺の一言に、愛華姉がカウンターに入る足を止めて振り返る。 「お前も何か読むのか?だったらコレ読まねぇ?」  愛華姉はそう言って、香織に渡さなかった1冊を俺に差し出した。 「…『c.c.d~捜査終了~』…」 「そ、これまた推理モノ。二人の話聞いてたら推理モノ読みたくなってなぁ~」  俺が漫画を受け取ると、カウンター内に戻った愛華姉は俺たちに向かってピッと敬礼をしてみせた。 「それでは、諸君等の健闘を祈る♪」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加