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「あぁ…それ…」
鈴原は香織からカラーフィルムを受け取ると、
「レンズや電気スタンドに貼り付けて、いろんな色の写真を撮ろうとしたみたいですね」
と言葉を続けた。
「へぇ~…」
香織が頷きながら声を上げていると、鈴原はカラーフィルムを箱に入れて蓋を閉じた。
「…でも今は現像も加工もあれらで出来るようになったので、これらは必要なくなってしまって…」
そう言って鈴原が視線を巡らせた先を見て、俺はなるほど、と納得した。
「…確かに、パソコンとプリンターでフツーに出来るよな」
俺の言葉にウンウンと頷きながら香織がふと時計を見た。
「──あ!時間が無くなっちゃう!」
「…やべぇ、ホントだ…鈴原、どれ運んだら良いんだ?」
時間を確認した俺が問いかけると、鈴原は部屋の入口付近に置いてある段ボールの山を指さした。
「そこの段ボールを…パソコンルームの隣が新しい部室になるので…」
「了解!はい、大成♪」
香織は返事をすると、段ボールの山から2つ取って俺に持たせた。
「2つかよ!」
「持てるでしょ?男なんだから♪」
香織は文句を言う俺に動じる事なくニンマリと笑うと、自分が運ぶ段ボールを1つ取った。
「…『憧れてる』って言ってるだけあって、誰かさんソックリの良い性格で…」
俺は長い三ツ編みの『誰かさん』を思い浮かべながらため息をつくと、同じく段ボールを持った鈴原と共に3人で廊下に出た。
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