CONFUSED BLUE

4/36
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「…は?覚えてない?」  俺は眉間にシワを寄せた。  それを見て、香織がしどろもどろに話し始める。 「…前のテスト期間中に真由美ン家でテスト勉強して、休憩した時にちょっと読ませてもらった漫画でさぁ…」 「…だったらその友達に借りれば良いじゃねぇか」  俺の提案に、香織は苦笑いをしながらそれが…と言葉を続ける。 「…見飽きたからって、年末の掃除の時に処分しちゃったんだって…だから愛華さんが持ってないかなぁと思って…」 「お前なぁ…」  呆れ顔の俺と違い、愛華姉は微笑みを絶やす事なく 「その漫画、どんな話だったの?」 と尋ねた。  …どうやら愛華姉の実態が暴かれ…もとい、本領発揮の時が来たようだ。 「え~と…女の子が古い本の中の世界に入っちゃって、伝説の巫女として冒険する…」  香織がそこまで話したところで、愛華姉があぁ、と声を上げてスタスタと迷いなく本棚に向かう。 「…これじゃない?」  そう言って愛華姉が差し出した漫画を見て、香織はパッと表情を明るくさせた。 「あっ、これです!『摩訶不思議遊戯』!」  香織は愛華姉からその漫画を受け取ると、 「さっすが愛華さん♪」 と言葉を続けた。 「…位置まで覚えてんのか…」  俺は驚き半分呆れ半分の呟きを漏らした。  …だって店の主人だからって普通覚えてるか?  この『コミック』には2面の壁一杯の本棚だけじゃなく、5つのテーブル席を仕切るのにも俺の胸ぐらいの高さの本棚を使っていて、その全てが漫画で埋まっているんだぞ?
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!