3人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
CONFUSED BLUE
「…ねぇねぇ、また出たらしいね…」
クラスの女生徒の一人が声を潜めて友人と話し始める。
「…あぁ、クラブ棟の幽霊?」
話しかけられた友人の返答に、その女生徒はウンウンと頷いた。
…最近、俺の高校でかなり広がっている噂だ。
「あのクラブ棟、壊す予定だったのが中止になったらしいよ」
「壊したら呪われると思ったんじゃない?」
「あそこで死んだ奴でもいるんじゃね?」
「死体が隠されてて、『出してくれー!』って言ってるとか?」
いつもならただの噂なんて『馬鹿らしい』の一言で放っておく話だ…そう、ただの噂だけなら。
…しかし…。
「俺ホントに見たんだって!クラブ棟の2階に幽霊が浮いてるトコ!」
…同じクラスで同じ剣道部員の友人、西川までその幽霊を見たと言う。
「信じてくれよ大成~!」
初めて聞いた時はついつい疑惑の目で西川を見てしまったものだが、よくよく考えれば西川はムードメーカーではあるけど変な嘘をつくようなヤツじゃないしなぁ…。
「…『クラブ棟の幽霊』…なぁ…?」
周囲の噂話を聞きながら、俺はポツリと呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!