喜劇2 まともな言動をしてくれ

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「私が王位につけたのは、君のおかげだ。この婚約は、そのささやかなお礼だ」  クンツはほほ笑み、エルマーは彼に心から感謝した。王国では重婚は許されない。だからこれで、ライリーとラルスの婚約は避けられる。しかしエルマーはまだ安心できなかった。なのでライリーの家に通い、彼女が道を踏み外さないように教育した。 「あとは、見てくれだけが美しいあの女さえ排除できれば……! あぁ、犬に戻りたい。いや、鳥だ。翼があれば、ライリーのもとへ飛んでいける」  エルマーはチーズをこれまた適当に食べながら、苦悩する。ライリーの死亡につながるものは、すべて消したい。エルマーが持つ莫大な財産も国王とのつながりも、すべてそのためにある。クンツは、もうあきれ返っている。 「君は変わっている。私はいまだに君が理解できない」  クンツはゆっくりとワインを飲みほした。酔っぱらったらしく、赤い顔でふーっと息を吐く。エルマーは酒に酔わないが、クンツは酒に弱い。 「しかし、翼があれば君のもとへ飛んでいけるのに、という表現はいい。よし、私の方からライリー嬢の父母に、結婚の準備を始めるように促そう」  クンツはご機嫌な感じでほほ笑んだ。
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