喜劇3 親以上に過保護で過干渉

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「嫌なこともされていないし、友だちもいるし、学校は楽しいわ」  ライリーは踏ん張った。エルマーの思いどおりに動くのは嫌だ。馬車に乗り、彼とともに家に帰るつもりだが。 「そうか、よかった」  エルマーは安心したように笑った。けれど、やはりライリーの背中を押してくる。 「今日は誰と何を話した? 授業は何だった? 先生は誰だった? 図書館では何の本を読んだ? 普段とちがう、何か変わったことはなかったか?」  エルマーの声には、不安がにじみ出ていた。 「あなたは私のお母様かお父様なの? 両親でさえ、ここまで過保護で過干渉じゃないわ」  ライリーはへきえきした。エルマーは、ライリーが学校で浮気すると疑っているのか。ならばライリーは、もう少し素直になった方が……、 「僕は君の弟だったときはあるが、父親だったときはない」 「はぁあ?」  ライリーは大口を開けて、聞き返した。振り返ると、エルマーはまじめな顔をしている。ライリーはぶすっとして、口を曲げた。 「あなたと私の年齢を考えると、兄妹ではないかしら?」  論点がずれているが、ライリーは不機嫌に言う。 「お姉様。あなたが僕を忘れても、僕はあなたを忘れない」  エルマーは悲しげにライリーを見た。しかし火に油を注いでいるとしか思えない。ライリーは切れた。昨日、部屋に軟禁された恨みもあり、怒りは限界に達した。
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