喜劇1 なんで私を閉じこめるの!?

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「ライリー、今日も君が元気でうれしいよ。君のさけぶ声を聞くと安心する。君が生きていると実感できるんだ」  彼は、いすにどっかりと腰かける。彼はライリーに怒られても、気分を害さない。それどころか喜んでいる。認めたくないが、特殊な性癖の持ち主かもしれない。ライリーの顔は引きつった。  それはさておき、エルマーは疲れた様子だった。メイドたちがていねいに茶をカップに注ぐと、エルマーはすぐにそれを飲みほした。 「君たちもありがとう。もう下がっていい」  にこりと笑って、メイドたちを退出させる。ライリーはエルマーの向かいに腰かけた。エルマーが疲れているので、ライリーは怒りつづけるのが難しい。しかしせいいっぱい彼をにらみつけた。 「なぜ私は学校に行けずに、あなたの邸に閉じこめられているの?」  朝、馬車に乗り王立学校へ行こうとすると、エルマーが突然やってきた。彼は、学校に行かないでくれと必死に頼んできた。そしてライリーがうなずかないと、力づくでライリーを馬車に乗せ、自分の邸まで連れていったのだ。  エルマーはライリーを邸の一室に閉じこめて、どこかへ行った。ライリーは本当に、わけが分からない。  ライリーの質問に、エルマーはどう答えるべきか悩んでいた。やがて、ゆっくりと口を開く。まじめな表情で、 「僕は、君の犬だったときがある」 「ないわよ」  意味不明なせりふにライリーはぞっとして、すぐに否定した。ライリーは犬を飼ったことがない。一度、なにか動物を飼いたいと父母に頼んだが、許可されなかった。エルマーはライリーの返答を聞いていないようだった。
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