喜劇1 なんで私を閉じこめるの!?

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 ライリーは照れているのに、エルマーはまだ不安そうだった。相変わらずこの男は分からない。 「ライリー、この国では王侯貴族、――特に王族が強い権力を持つ」 「あなたが言っても、説得力がないけれど」  ライリーはしらけた調子で反論した。エルマーは、もしかしたら王侯貴族よりも強い影響力を持つ。また彼はクンツ国王とも親しいらしい。前国王オーラフの世ならば、平民のエルマーと侯爵家のライリーの婚約など許されなかっただろう。 「頼む、ライリー。十分に身をつつしみ、危ないことはしないでくれ。僕の望みは君の幸せだけだ。君が幸せな結婚をし、子どもや孫に囲まれている姿が見たい。君のためだけに、僕は生きている」  エルマーは熱心に言う。しかしライリーは身を引いた。これは口説かれているのか? 早く自分と結婚しろと言いたいのか? しかし、そんな雰囲気ではない。やっぱりエルマーは、よく分からない婚約者だった。
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