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「その本命に、ホワイトデーのお返し聞くのはどうなんだろうな」
「あれ。俺、涼介が本命なんて言ってないけど」
「は? それはつまり、俺以外に本命がいるってことでいい?」
「……、いません」
ふふんと得意げな顔つきに変わった涼介から視線を逸らす俺の喉が、悔しいと唸り声を上げる。
最近の涼介は変な知識を身に付けたかして、やけに小悪魔っぽい。悔しいけど、得意げにする様を可愛いと思ってしまうことが、余計に悔しい。
「で? 結局、なにがいいんだよ」
「……適当でいいよ、別に」
「は? っ、」
するりと伸びた手が首に回されたと気付くなり、体を引き寄せられ、鼻先が触れ合う。ぽたりと、涼介の頬に拭いきれていなかった雫が落ちた。
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