2月 バレンタイン

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「あれ、全部断ってくるなら。……来年は、考えてやらないことも、ない」 「……あれって、あれ?」 「他に何があんだよ」  驚いたような聖司の声に今更恥ずかしくなって、赤らんだ頬を隠すように、ふいっと目を逸らす。  たっぷり10秒後。聖司が吐いた安堵と喜びの混ざった笑みが、俺を苛む羞恥心をさらに煽った。 「あれ、気にしてくれてたんだ?」  わざわざ顔を覗き込む聖司の目が、嬉しそうにキラリと揺れる。悔しさと恥ずかしさに歪む顔は、絶対に見せたくない。 「別に。かさばって邪魔だなくらいにしか思ってないけど」 「でもあれがなかったらくれるんだろ?」 「……考えてやるってだけで、あげるなんて」 「全部断るよ」  調子がいい。するりと腹に回った腕に抱き寄せられ、高い体温が背中をじわじわと温めていく。  甘ったるく響く聖司の声に首をすくめながら、見えもしないのに、つい聖司の方を振り向きそうになる。
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