第2章 空の歪み

4/10
前へ
/92ページ
次へ
ブルドーザが死体を掬い、トラックに載せていた。 二体を掬い終わり、こっちに向かってくる。 「ヤバイ・・・・」 俺は死体を跨ぎ直ぐ手前の細い路地に入っていった。 路地はかなり薄暗く、湿気を感じる。 商店でも行っていたのだろうか?シャッターが下がっていた、ここ数年、シャッターを上げた形跡が無いようだ! 横には階段があり二階が住居になっているようで、左右みな同じ建物の作りをしていた。 俺の足音に気づき二階から誰がゆっくり降って来た。 しかし、俺は不思議と恐怖を感じなかった。 怖れていたのは二階から降りてきた子供で、俺の顔を降りながら不安な面持ちで覗き込んでいた。 歳は七~八歳だろうか? 俺はなんて言葉を掛けていいのか戸惑った? そんな時、前に聞いた駅員の無機質な声を思い出した。 通じると確信し 「こんにちは」と声をかけた。 少年は、強張った表情で俺の姿を上から下まで舐め様に見ていた。 俺は階段の途中にいる少年に、今度は微笑みながらもう一度 「こんにちは」と声をかけた。 すると少年の瞳が少し輝いて見えた。 「俺は怪しものでは無い・・・ここは?」 と言いかけようとした時、背後から慌しい足音が近づいてくるのを感じた。 「こっち、こっち」と少年が手を振り、2階にある部屋へと導いてくれた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加