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ブルドーザが死体を掬い、トラックに載せていた。
二体を掬い終わり、こっちに向かってくる。
「ヤバイ・・・・」
俺は死体を跨ぎ直ぐ手前の細い路地に入っていった。
路地はかなり薄暗く、湿気を感じる。
商店でも行っていたのだろうか?シャッターが下がっていた、ここ数年、シャッターを上げた形跡が無いようだ!
横には階段があり二階が住居になっているようで、左右みな同じ建物の作りをしていた。
俺の足音に気づき二階から誰がゆっくり降って来た。
しかし、俺は不思議と恐怖を感じなかった。
怖れていたのは二階から降りてきた子供で、俺の顔を降りながら不安な面持ちで覗き込んでいた。
歳は七~八歳だろうか?
俺はなんて言葉を掛けていいのか戸惑った?
そんな時、前に聞いた駅員の無機質な声を思い出した。
通じると確信し
「こんにちは」と声をかけた。
少年は、強張った表情で俺の姿を上から下まで舐め様に見ていた。
俺は階段の途中にいる少年に、今度は微笑みながらもう一度
「こんにちは」と声をかけた。
すると少年の瞳が少し輝いて見えた。
「俺は怪しものでは無い・・・ここは?」
と言いかけようとした時、背後から慌しい足音が近づいてくるのを感じた。
「こっち、こっち」と少年が手を振り、2階にある部屋へと導いてくれた。
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