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時計の針は十二時を過ぎようとしていた、通常より長針の動きが速く長針と短針の重なりがわずかに思えた。
秒針が無い時計だからだろうか?
怖れをこらえて周囲を見渡してみた。
向こう側のホームに電車が着いていた、誰も降りる様子がない。
殺風景な駅で何処なのかもわからない。
重い足を進め改札口に向かった。
改札口にはひと気がなく、出口付近に小部屋があることに気づいた。
ノックをしてドアノブを回したが、しっかり鍵がかかっていた。
ドアの外から話し掛けてみた。
「ここは何処ですか?」
「電車はあるのですか?」
すると…
「もう電車はない・・・」
とドアの向こうから無機質な声で誰かが答えた。
人の声か?
録音された声か?
はっきり聞き取れない、食道から胃へと不快な物が通過したような感じがして…
それ以上の事を聞く気になれなくなり…
その場に座り込んでしまった。
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