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「なんでこの世界に来てしまったのか?」何度も同じことばを繰り返していた。
どう考えても答えが出ない?
訳のわからないこの世界、全てを認められない自分がいた。
俺はいつもくすぶりながら生きてきた。
この場に居なくても、全てを認めたくなかった。
認めるのが怖くて逃げていた…
「何処に居ても同じだなぁ…」
そんな独りごとを口走ると、昨日の宴会が思い出された…
期がかわり桜も散った頃、毎年恒例になっている。
職場行事の幹事交代の為の宴会である。
年が経つに連れ、世代交代が余儀なくされ、仕事への情熱が薄れていたことに、気づき初めてたころから…
この宴会はいつもしらけたものだと捉える様になっていた。
不満の捌け口をぶつけられず、聞いてもらえそうな人に、愚痴っていた。
上手くいかない、嫌な事ばかりをよく考えるようになっていた・・
チャンスを生かせず出世を逃し、願望意識だけが強くこれまでやって来た・・・
俺はもうじき四十九を迎えようとしていた・・・
ふと昨日のことが頭を過ぎった。
…「かみさん、心配してるだろうなぁ」
「帰りたいな…」
そう切実に思った。
訳もなく涙が流れていた。
それは、今の寂しさと今迄の自分への甘さの後悔からか、心が虚しさに占領され、涙が止めどなく流れていた。
そんな時、穏やかな口調で誰かが俺に囁いた・・・
「逃げるな、逃げるな」・・・
怖じ気づいている気持ちを断ち切るかのように、今度は強い口調で…
「逃げるな、逃げるな」の声が心に響いた・・・
確かに親父の声だった!
「逃げるな」は生きて居た頃の親父の口癖だ!
俺が弱気になると、この言葉で諭された。
俺の何処かで、何かがふっ切れたような気がした・・・・・
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