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竹中先生の噂
「おい、この学校で一番怖い先生って誰だと思う?」
野球部の部室で着替え中に、ちょっとヤンキーっぽい田口先輩に不意に声をかけられた。
「えっ、怖い先生っすか?うーん、やっぱりうちの野球部の顧問の脇田先生じゃないっすかね?」
「ああ、みんなそう思っているみたいだけど、ちげーよ。一番ヤバイのは竹中だ。」
「ええ?まさか。あのいつも何言われてもニコニコしている先生がですか?まさか。」
「いいか、竹中だけは気を付けたほうがいい。」
何かの冗談かと笑って先輩を見たが、顔は青ざめていたって真剣だった。
まさかね。先輩は俺をからかっているのだ。
ところが、それを本当に裏付ける事件が起こってしまうとは夢にも思わなかった。
「つまんねーなあ。」
五時限目ということもあり、皆夢うつつの中、古典の授業を受けていた。
そんな中、目立ちたがりの北村が突然そう言ったのだ。北村は、最近ちょっと悪いグループと仲良くなったせいか、急にいきがるようになった。教室が一気に緊張した空気に包まれる。
「どうしたのかな?北村君。」
竹中先生はいつものように、微笑みをたたえながら北村に返した。
「おめーの授業、つまんねーんだよ!」
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