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俺は、一番後ろの窓際の席に居たので、こっそり抜け出して職員室に走った。
「先生、大変です!竹中先生が!」
職員室のドアを開けるや否や、俺はその場に居た教師に経緯を説明して教師と共に自分のクラスに引き返した。
「おや?山崎先生、どうされました?」
竹中先生は何事もなかったかのように授業を再開していた。
北村が居ない。
「いえ、あの水野が・・・竹中先生が北村を殴っていると言うものですから。」
「まさか。僕がそんなことをするわけないじゃないですか。」
嘘だ。皆見ていただろう。圧倒的な竹中先生の暴力を。
俺はクラスメイトの皆の顔を見渡すも、皆目を反らして固く口を閉ざしている。
「だめじゃないか。水野。授業中に抜け出して他の先生に迷惑をかけちゃ。」
そう窘められて、俺は席につかされた。
その後、俺が呼びつけた教師に職員室でこってり絞られたのは言うまでもない。
「なあ、北村が竹中に殴られたよな?なんで皆黙ってるんだよ。」
クラスメイトに聞いてまわっても、皆目を伏せて口を閉ざしている。
いったい何があったんだ。北村はどこに行ったのだ。
俺は不思議に思いながらも、竹中先生が恐ろしくてそれ以降授業を受ける気になれなかったので早退した。
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