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あくる日、迷いながらも学校に登校した。職員室をこっそり覗くも竹中先生の姿が見えなかったので、心底ほっとした。教室につくと皆、いつもと変わらずガヤガヤと騒いでいた。
北村の姿はそこには無い。
「なあ、北村、やっぱり来ていないのか?」
俺がクラスメイトの田中に尋ねるとキョトンとした顔をされた。
「はあ?誰って言った?」
「だから、北村だよ。昨日、竹中にめちゃくちゃ殴られただろ。やっぱり来れないくらい酷いのかな。」
「北村?誰だよ、それ。」
田中は不思議そうに俺の顔を見た。
「いや、北村だよ。最近不良グループに入っていきがってた北村。」
「何言ってんの?お前。北村なんてやつ、うちのクラスに居ないし。それに、竹中って誰?」
「はぁ?北村、居ただろう。北村だよ!竹中は古典の先生!」
「お前、大丈夫?竹中なんて先生はいねーし!古典は宮本先生だろ。」
嘘だろう?何かがおかしい。
昨日の暴力事件から何かが変だ。
昨日までは、竹中先生も北村も存在していた。
なのに、クラスの誰に聞いても、そんな者は存在していないという。
俺は奇異の目で見られ始めたので、もうその話題に触れるのをやめた。
だが、モヤモヤとした気持ちは晴れずにその一日を過ごした。
消えた竹中先生と北村の存在。彼らはどこに行ったのか。
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