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部屋に入るとそこは広い窓から太陽光が降り注ぐ書斎部屋。大窓の前に書斎机にこの屋敷の主人が待っていた。
「さて、新しい物語のはじまりですね。」
そこには白いドレスを着た妙齢の女性が待ち受けており、そして左手で指を鳴らした。
暗転。電源を落としたように意識を失った。
「はい。おはよう。」
女性の声で目が覚めた。さきほどの女性が椅子に腰を掛けて私を見ている。私もいつの間にか椅子に座り、女性と正面に向かい合っていた。
部屋はただの空間に変わっていた。白なのか、黒なのか。そもそも色があるのかわからないような空間。どっちが床か、どっちが天井かわからないような空間。私はそれでも空間を無意識に把握して、女性を見ている。
「順調に進んでいます。」
女性は毅然と語り始める。
「最初はなじまないかもしれません。でも動かしていけば次第になじみます。」
「戸惑うことはありません。」
女性は空間から紅茶を取り出すとクイと飲んだ。
「私はもうすぐ生まれ変わります。自由になれますか?」
私は疑問も投げかけた。
「自由には不自由もつきものです。」
女性は柔らかく微笑み言葉をつづけた。
「意識を自由におくのです。肉体は束縛です。しかし肉体をもって自由を求めるならば、意識を自由に置くべきではないでしょうか。」
「肉体は束縛ですか・・・」
私はなるほどなと思いつつ、次の体では意識に自由を求めようと決めた。
「さて、最終フェーズで、まもなく終了です。」
空間が徐々に白さを増して、白い空間に二人が向き合い続けている。
「新しいサーバ―ではもっと楽しんでくださいね。」
「それでは現実に帰りましょう。」
はい。というと左手の指を鳴らした。
暗転。何もかも消えたような。そして新しい自分になるような。
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