僕と、綺麗な目をした彼女

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***** これですべて終わる。 降り注ぐ冷たい雫。 横たえた身体から流れゆく雨。 それと共に流れ出すのは私の命と、紅い液体 もっと・・・もっともっと早く・・・・流れ出せばいい 目の前に広がるのは、深くて暗くて広い暗闇。 今にも消えてしまいそうな私を、まるで呑み込んでしまいそうなほどの夜空。 この呪われた眼にも、こんなに綺麗に映る風景があるなんて・・・。 身体から血液と共に体温が流れ出ているのが分かる。 そうやって、自分の中にある苦しみまでこの身から消し去ってしまいたい。 でもきっと、この苦しみももうすぐ終わる。 この命と共に、この呪いも消え失せるのだ。 奴らに追われる人生も、人目を避ける生活も 「なんて・・・綺麗・・・」 もう身体も動かない。 容赦なく打ちつける雨の温度も、温かく感じる。 これで終わりだ。 これで・・・すべて終わり。
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