プロローグ

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この子、同じクラスの『わたあめちゃん』だ!! わたあめっていうのは、私が勝手につけた私だけの呼び名。 ほかにも、近寄りがたい男の子には『ドラゴン君』、本をよく読んでいる女の子には、『活っちゃん』などとつけている。 友達作りが苦手なので、クラスの人にあだ名をつけて少しでも親近感を持ちたかったから。 この子は同じ宮が付くから、仲良くなれるかな、と思っていたのもある。 「あ、愛宮しずくです・・・!同じく一年一組です!こっ、こちらこそよろしく。」 私が途中敬語を使ってしまったからか、わたあ・・・飯宮さんはちょっと笑った。 「ね、今日って委員会決めの日だよね?」 「う・・・うん。そうだったと思う。」 「一緒の委員会だといいねっ!」 無邪気な笑顔で、しかもとんでもないことを言ったものだから、飛び出すんじゃないかってくらいに目を剥いてしまった。 「あっ!別にね、他意はないの。仲良くなれたらなって思っただけだよ。」 いたずらっぽくウィンクして、小さな声で付け加える。 「それにね、わたし、コイバナ、大好きなの!!じゃ、またねっ。」 「っ!!う、うん。」 元気よく教室に向かう彼女を見送りながら、私は顔を思いきり下に向けた。
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