きっと

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 これが初めての……デート。案外浮かれてるなと、自嘲が零れ落ちた。  今までも恋愛をしなかったわけでは無い。  初めて付き合ったのは高校一年生の冬。私から告白して、一つ年上の部活の先輩と付き合った。憧れの先輩だった。二ヶ月で別れた。付き合い始めてから別れるまで、一度も好きだと言ってもらえなかった。実際、先輩は私の事を好きにならないまま付き合ったのだろう。デートに誘っても苦い顔をされた。手すら繋がなかった。私の方が辛くなって別れを切り出した。  二回目は大学二年生の秋。バイト先の後輩に告白されて付き合った。正直そんな風に思われてるとは思ってなかったし、さらに正直に言えば、彼は私のタイプの男性では無かった。でも、彼の気持ちは素直に嬉しかったし、「試しに付き合ってみたら?」という当時の悪友の声も手伝って、一週間の逡巡を経て付き合ってみることにした。でも……やっぱり彼の事を恋愛対象として好きになれなかった。自分が酷く惨いことをしているような気がして、罪悪感で心が重たくなっていった。付き合って四ヶ月経ったある日に、「やっぱり好きになれなかった」と告白した。何故か涙が零れた。泣きたいのは彼の方だ。「もう別れようか」と告げる彼の声はあくまで穏やかだった。     
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