有能すぎたメイド

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「ご領主様。明日より私めは『ノーパン強化週間』に突入致します。どうぞお気の向くままにご利用くださいませ」 彼女はひたむきだった。 仕事を完璧にこなす傍らで、必ず某(なにがし)かの余分なる言葉を言い放つのだ。 さすがに連日連夜この有り様では身が持たない。 よって、寝所に案内される際には、アイーシャにキツく命じる事にした。 「アイーシャ」 「はい、ご領主様」 「本日より、寝室に立ち入ることを禁ずる」 「左様にございますか。今後、ご寝所での務めを果たせなくなります」 「構わん。それは別のものに任せる事にする」 「承知致しました。それでは、おやすみなさいませ」 不自然に思うほど容易く受け入れられた。 申し付けた通り、寝所に足を踏み入れたのは自分だけであり、彼女は表より静かにドアを閉めたのだ。 昨日までであったなら、彼女は同室するなり鮮やかに服を脱ぎ去っては囁いたものである。 『産まれたての姿となりましたが、実はオンとオフの2ウェイ仕様です。お望みであればもう一度身に付けますが、いかがなさいますか?』という趣旨の言葉を。 だがその世迷い言も今宵からは解放されると知り、無防備にも寝入ってしまった。 寝所に鍵を掛ける事すら忘れて。 体は疲れていた。 だが、耳慣れぬ音が気になり、思うように寝付けなかった。 ーーヒタリ、ヒタリ。     
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