6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ご領主様。明日より私めは『ノーパン強化週間』に突入致します。どうぞお気の向くままにご利用くださいませ」
彼女はひたむきだった。
仕事を完璧にこなす傍らで、必ず某(なにがし)かの余分なる言葉を言い放つのだ。
さすがに連日連夜この有り様では身が持たない。
よって、寝所に案内される際には、アイーシャにキツく命じる事にした。
「アイーシャ」
「はい、ご領主様」
「本日より、寝室に立ち入ることを禁ずる」
「左様にございますか。今後、ご寝所での務めを果たせなくなります」
「構わん。それは別のものに任せる事にする」
「承知致しました。それでは、おやすみなさいませ」
不自然に思うほど容易く受け入れられた。
申し付けた通り、寝所に足を踏み入れたのは自分だけであり、彼女は表より静かにドアを閉めたのだ。
昨日までであったなら、彼女は同室するなり鮮やかに服を脱ぎ去っては囁いたものである。
『産まれたての姿となりましたが、実はオンとオフの2ウェイ仕様です。お望みであればもう一度身に付けますが、いかがなさいますか?』という趣旨の言葉を。
だがその世迷い言も今宵からは解放されると知り、無防備にも寝入ってしまった。
寝所に鍵を掛ける事すら忘れて。
体は疲れていた。
だが、耳慣れぬ音が気になり、思うように寝付けなかった。
ーーヒタリ、ヒタリ。
最初のコメントを投稿しよう!