解体業者の証言『勝手に動くエレベータ』

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『あの病院』が廃院になって中の機材とかは処分された後だったんですけど、何が残っているのか分かったもんじゃないですし。 もしも何か貴重品とか残ってたら持ち主に返却しないといけませんし、あと『カルテ』とかですね。取扱い注意なのは。 いやぁ‥‥カルテは怖いですよ? 廃病院でカルテときたら、怖い噂がいくらでもありますから。後になって『カルテを返せ‥‥』って現れる‥‥なんて話も聞きますしね。 そういう『ちょっと触りたくないもの』は、引受け手が無ければまとめておいて『お祓い』ですね。近くのお寺さんから読経に来てもらって、お祓いをしてから『産廃』として処分です。 そうですね、大抵は焼却処分ですよ。 注射器とかの医療系廃棄物ではありませんが、『病院を解体した際に出てきた』というだけで病原菌の付着を疑われますし。 それに、『焼いた』方が荼毘みたいで後腐れが無いでしょ?  それで、皆んなで中を調べようって事になりましてね。 『それ』は電気工事業者のオヤジでしたよ。 配線とかを解体してもらうために呼んだんですけど。 そのオヤジが、地下に通じる扉を開けたんだそうです。 そしたら、『背後から生暖かい風が吹き込んで来た』って言ってました。 そして、次の瞬間。 誰もいない筈の『霊安室』の扉が、ひとりでにギギ‥‥って開いたって言うんですよ。     
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