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ええ、そうです。重たい鉄製の扉ですから、そんなに簡単に開くとも思えません。
それがまるで『口を開けて手招きするみたいに開いた』ので、心臓が止まりそうになったって。
それで「ぎゃぁぁぁ!」って大声あげながら戻ってきましてね。
「冗談じゃねぇ! 噂には聞いてたが、マジだとは思わなかった! こんな現場、二度と来ねぇ!」
って、怒鳴りながら帰ってしまいましたよ。
‥‥はい、次の日から来てくれませんでした。
ボクはそれを聞いて、最初は『何かの偶然だろう』程度にしか考えませんでした。
でも‥‥自分で体験して『マジだった』と分かりましたよ。
それは、ボクが「上の方も確認してみよう」ってエレベータに近寄った時の事です。
そうです。電気は解体作業用に残してました。
ええ、何しろ廃院になって2ヶ月以上も『誰も立ち入っていない』建物ですから当然、内部にはボク達以外には誰もいません。
ところがです。
ボクが階数のボタンに触れる直前になって。
『エレベータがひとりでに動き出した』んですよ。
そうです、そうです。誰ひとりとしてボタンに触れていませんし、上にも人は居ませんでしたから。
まさに『勝手に』動いたんです。
いや‥‥周りに他の職人さんたちが居たから、何とか持ちこたえましたけど。
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