壊された病棟

用務員の証言『真実はここに』

ネズミってなぁ、ビックリするくらい小さな隙間からでも出入りしおるんで、中々退治出来んで困っておったんじゃ。

ああ、それも同じよ。
病院でありながら『ネズミが出る』となったら、保健所がウルサイでの。『黙っとけ』って皆んなに箝口令が敷かれとったっけ。

ああ‥‥『勝手になるナースコール』な。
でも、それは婦長に言ってあったけどなぁ‥‥。

何しろ『あの病院』は古いからの。
接地(アース)が上手くとれて無いんじゃて。

その所為で、どうしてもシーツとかが帯電しやすくての。
微妙に湿度が高くなって気温が低くなるってぇ条件が揃うと、ナースコールのスイッチが誤作動する場合があるんじゃて。

いやぁ、他の患者たちがウロウロしている部屋は問題無いんじゃ。何しろ患者が帯電した静電気を放電してくれるからの。

でも、誰も居ない部屋だと静電気が溜まる一方じゃから誤作動が連発する傾向があってなぁ。

けど、アレじゃよ？　婦長さんには「そうなったらスイッチを鉄骨に擦り付けてくれれば静電気が逃げるから」って教えてあったぞ？　多分、婦長はそれで対処してたと思うんじゃが‥‥
何でそれが他の看護師に伝わってなかったのか迄は知らんの。

『内側から閉まる倉庫』？
それか‥‥アレも困ったモンじゃて。