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実際に会って、眼中に無いというのをまざまざと感じさせられるのは辛いかもしれないけど、それでも折角ミヤさんが誘ってくれたのだからと、OKの返事を打った。
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ミヤさんと約束をした日曜日、俺はスタジオのある最寄りの駅で待ち合わせていた。
まるで、デートの待ち合わせのようにそわそわしてしまう。(実際、誰かとお付き合いなるものをした事が無いので、デートの待ち合わせがどんなものかはよく分からないのだけど……。)
「済みません、ヴィーさんですか?」
俺にそう声をかけてきたのは間違いなくミヤさんの声だった。
声をかけてくれた人の方を向くとそこには一人の青年が立っていた。
チェスターコートを着こなし、ズボンはスラリと長い脚にフィットしている。
手にはギターケースとパソコンが入っているだろうカバンを持っていて、やはりこの人がミヤさんだと確信する。
顔は、確かに彫りが深いとか、鼻が高いとかそういうことは無いけど、薄い唇に男の色気がある目もと、フツメンというにはかっこ良すぎるその姿に見惚れてしまう。
「あ、あの、はい、あの…。」
何とか口を開くが、意味不明になってしまった。
ミヤさんは一瞬目を見開いたが、直ぐに笑顔になって
「大丈夫、緊張しないで。」と言ってくれた。
どうやら、声で俺だと分かってくれたらしい。
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