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「そういえばさ、樹ってどんなマイク使ってる?」
「え?ふつーに電気屋で買ってきたやつですけど……。」
「いくらくらいのやつ?」
「えっと、確か1500円位だったかなぁ?」
急にマイクについて聞かれたので正直に答えた。
するとミヤさんは
「ちょっと歌録音するのには心もとない感じかな?俺、家にマイク余ってるから、今度送ってあげるよ。」
と気を使われてしまった。
本当にミヤさんは優しすぎる。
これを恋にしちゃ絶対だめだ、自分にそう言い聞かせるけどそれは、結局それはこの後すぐに無駄になった。
「じゃあ、軽く合わせてみようか。」
椅子に座って、アコギを持ちながらミヤさんが言う。
ミヤさんのギターに合わせながら、歌う。
俺の声に、ミヤさんの甘く低い声が重なった。
生声やばい、本当にやばい。
ミヤさんの声に頭の中が一杯になる。
ミヤさんの歌にクラクラしながらも何とか歌いきった。
ドクドクと自分の心臓の音がうるさい。
「どうだった?」
ミヤさんに聞かれたので思わず
「ミヤさんかっこ良すぎです。」
と本音を言ってしまった。
直ぐに、ミヤさんの感想ではなく、曲としてどこをどう歌うかのことだと気付くが後の祭りだ。
真っ赤になって俺が慌てていると。
ミヤさんは声を出して笑った。
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