愛を囁く

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樹か、くそ、かわいいなあ。 名前を呼びまくりたい。 ********************** スタジオに入ると録音用の機材とPCを繋いで準備をする。 大した事ない作業なので、樹の手を煩わせる事もない。 準備をしながら、会った時に感じた疑問を口にした。 「そういえばさ、樹ってどんなマイク使ってる?」 「え?ふつーに電気屋で買ってきたやつですけど……。」 「いくらくらいのやつ?」 「えっと、確か1500円位だったかなぁ?」 マイク越しの声も物凄く良かったが、実際の声に比べるとかなり劣っていると感じていた。 その声の差がかなりあったので質問すると、格安のマイクを使っている事が分かった。 それで、劣化してしまっていたのか。 マイクに殺意を抱いたのは初めてだ。 使っていないマイクを送るという口実に住所をGETした。 余っている物が無いわけではないが、この前買ったばかりのマイクとヘッドホンをプレゼントしようと心に決めた。 準備も終わり一度合わせて歌ってみる事にした。 樹の歌声に合わせて俺も歌う。 生で聴く樹の声は俺の理想を体現したような声で堪らなかった。 この声を喘がせてみたい。 本能にも近いその欲求を持って俺が樹を見ているなんて、勿論彼は知らないだろう。     
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