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間取りは恐らく2LDK。リビングから通された部屋は作業用の部屋らしくデスクにはPCとMIDIキーボード等が並んでいる。
ここでミヤさんの楽曲が生まれているんだ。
ファンとしてこんな贅沢は無いと思う。
キョロキョロと見まわしていると、ミヤさんがお茶を持ってきてくれた。
「椅子も出さないでゴメン!!その奥に折りたたみの椅子あるから出してもらえるかな。」
言われた通り棚の隙間に折りたたみの椅子があったので取り出して座った。
ミヤさんが入れてくれた紅茶に口を付けるとふわりといい香りがした。
ミヤさんは大人で、何もかも俺と違う事を見せつけられている気がしてチクリと胸が痛んだ気がした。
ミヤさんに見せ付けるなんて気持ちが無い事は百も承知で自分自身の被害妄想のような物な事は分かっている。
けれども俺の気持ちの行き先等、絶対に無いと宣告されているような気分になってしまうのは仕方がないと思う。
俺の勝手な恋愛感情でミヤさんを困らせる事だけはしたくない。
気持ちを切り替えて今日の本題の件を聞いてみる事にした。
「あの、新曲って本当に俺が歌うんで良いんですか?」
ミヤさんのニヤニヤ動画での活動は基本的にまずボカロを使って曲を作って、それをアップして、場合によってはミヤさんが歌うというスタイルだ。
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